波の前後でどれだけ変わったのかを視察したのと同時に、津波の後にラムサール条約の登録地となった志津川湾も視察しました。
魚市場は高度衛生管理型市場となり、総合病院も台湾からの義援金22億円で建設されました。高齢者が多いのでコミュニティの維持が大変(リーダー不足、孤独死対策)という問題が発生しています。
南三陸町はバイオマス産業都市構想を掲げており、循環の事業を行ったり、地域で未利用の資源を活用しています。アミタ株式会社は生ごみや尿汚泥を発酵してバイオガスと液体肥料を創りだすなどの事業をしています。
アミタは各家庭から出る生ごみをバケツに入れて回収しますが異物分別率は住民の協力により1%程度と低い水準になっています。大変興味深く重大な事は、詳しく見て行くと、できていない地域(コミュニティ)は異物が多かったり、新しく建設された団地は生ごみをバケツで出していないことがわかりました。そこで、生ごみを出してもらう活動として、現在の取り組みに対する感謝の言葉を伝えたところ一律して改善が見られました。
回収した生ごみはまずバイオガスになります。その過程で液体の副産物が発生するのですが、それを肥料化することで液体肥料となります。もし液体肥料にすることができなければ水処理して流す必要がありコストが高くなります。また、液体肥料を作りすぎ余ってしまっても廃棄するために水処理が必要なためコストが高くなります。つまり、積極的に理由してくれる農家が存在し、その方へどれくらい液体肥料を供給すればよいかを共有してはじめて成り立つモデルです。作り出す側と利用する側がそれぞれの立場のみから行動をとれば事業として成り立ちません。南三陸では液体肥料を作りだすアミタ株式会社と、それを利用する農家が絶妙な関係性のもと成り立っております。回収した生ごみから液体肥料を創る事業はまさに全体の関係性の上で成立している事業と言えます。
農業が大きく変わりました。以前より財布に優しくなっただけでなく、住人が主役になることができる取り組みだと思います。分かち合う経営が市民レベルで始まっており、最近は高校生が将来この町に帰ってくると口に出すようになりました(震災前は10人も満たなかったですが、今は30人前後です)。震災のときに全国の方から助けられたので、今は自分が頑張るときだと感じています。ゴミ0の町へ思考し、コンパクトな施設を人口に合わせて設置していきたいと思います。
当初はボランティアに来ただけでしたが、住民と密にコミュニケーションを取る中で、以前の町に戻すことが復興ではないと思い、今回の事業を始めました。南三陸にあるのは商業施設や観光施設ではなく自然であり、町全体をデザインしたいと以前から思っていたアミタの考えと一致しました。
FSCとは木材を生産する世界の森林と、その森林から切り出された木材の流通や加工のプロセスを認証する国際機関です。佐藤さんは12代続く林業の会社の社長であり、持続可能な林業を目指しています。そのためには正しい山づくりをし、山の力を発揮させながら林業を行うことが必要です。正しい山づくりを行うことで光の入り方が全く異なり、保水、空気。動植物の住処、土を守ることができます。
FSCとは木材を生産する世界の森林と、その森林から切り出された木材の流通や加工のプロセスを認証する国際機関です。佐藤さんは12代続く林業の会社の社長であり、持続可能な林業を目指しています。そのためには正しい山づくりをし、山の力を発揮させながら林業を行うことが必要です。正しい山づくりを行うことで光の入り方が全く異なり、保水、空気。動植物の住処、土を守ることができます。
南三陸視察で日本的経営とはまさに「関係性の経営」と実感できました。住民一人一人が主役で、それでいて誰も義務的でなく楽しそうです。だれか一人が乱せば成立しない循環サイクルを一人一人が自分の持ち場で主体的に行動しています。
驚いたのは、視察内で説明を受けるとき色々な場面で「関係性」という言葉がでてきたことです。本来あるべき姿である循環を意識すれば、関係性は気づけるものなのだと思いました。
また、事業を考えるとき、顧問の楠本が言った「経営とは本来、収益性が出るから、する、しない、ではない。先にやるべき事(目的)が決まって、それを成す為に、様々な問題・壁と向き合い、思考して、行動して、その結果、利益が出る、というものです。つまり、経営とは人を育てること。だから、社員教育、地域教育である。結果、地域から歓迎、感謝、尊敬する人(会社)になる」 という考えは、まさに南三陸ではじまっている取り組みを私たちが実践にうつすために必要な大事な価値観だと思いました。